製造業のM&A
電気機器製造、産業用機器製造、自動車部品製造、金属加工・金型製造、食品製造・食品加工製造、他
製造業の業界概要、市場動向
- 製造業は日本のGDP(国内総生産)の約2割を占める基幹産業です。
- 日本の製造業は、経済成長を背景に、優れた技術や生産管理を強みとし、
世界的にもトップシェアを誇る企業が数多く生まれました。
松下電器(現:パナソニック)やソニーなどの電機メーカー、トヨタ、ホンダ、日産などの自動車メーカーが海外シェアを席巻し、現在につながる「ものづくり」立国の確たる地位を築きました。
しかしながら、自動車産業は現在でも高い国際競争力を誇っているものの、
電機業界は中国、韓国や台湾などの国々にシェアを奪われて国際競争力が低下しています。
- 製造業は装置産業であり、多額の設備投資を伴う業種であり、資本力が重要です。
製造業は、工場建設や設備投資、原材料の仕入れなど、先行投資に相当の資金が必要となります。
製品設計・開発・製造と資金回収に到達するまでに長い期間を要します。
それだけの多額の初期投資が必要なのが業界の特徴であり、
事業規模に応じた資本がなければ、事業継続が難しい業界であるといえます。
業界再編、M&Aの動向
- 製造業において、厳しい経営環境下、事業所数は減少しており、また従業者数も減少にあります。
国内の製造業就業者数も減少傾向にあり2002年の約1,200万人から2019年には約1,000万人と、
20年間で約1割少しており、製造業に関する事業所数も、2000年の約34万か所から2017年には
約19万か所へと激減しています。
- 業界全体の縮小を受けて、ますます深刻化しているのが経営者の後継者不在の問題です。
後継者とする親族がいない、親族がいたとしても先行きが不安定な事業を継がせたくないなどの
理由で、高齢のオーナー経営者が自身の引退とともに黒字でありながら、廃業の道を選ぶ事例が
相次いでいます。
- 製造業には長年にわたって培ってきた独自の技術があり、それを必要とする顧客があり、廃業を
するとその技術が次世代に受け継がれることなく、消滅してしまうことになってしまいます。
これを回避するために第三者承継(M&A)という手法で事業を承継する選択肢が増えてきています。
- 製造業のM&Aでは高い技術力を持つ中小企業が、大手企業または中堅企業の傘下に入るケースです。
売り手企業において、売り手の経営や事業にてこ入れが必要なケースが多く、
それを支援できる大手企業、中堅企業が買い手候補として選ばれるケースが多いといえます。
- 一方、買手である大手企業、中堅企業は、事業領域の拡大、顧客基盤や商圏、地域の確保等に加え、
技術力ある技術者の確保等、人手不足の解消を目指してM&Aを行うケースも増加しています。
M&Aの要点・ポイント(売り手、買い手のメリット)
売り手にとってのメリット
- 売手にとって最も大きなメリットは、やはり売却益を得ることです。
また、大手企業の持つ資金力やブランドを背景に事業を拡大できることが期待できる事。
買い手にとってのメリット
- 買手のメリットの一つ目は「時間を買うことができる」こと。
買収することで、すでにある事業基盤、製造したい製品の設備、技術、商圏、顧客、ブランドを
手に入れることができます。
- 「人材を買う」ことも上げられます。
特に技術力のある企業を買収することにより、キーとなる従業員を獲得し、
その技術やノウハウを確保することができます。