人材サービス業のM&A
人材派遣、業務請負、アウトソーシング業、人材紹介、他
業界概要、市場動向
- 人材サービス業界は、大別して次の業態に分類されます。
「人材派遣」「人材紹介」「業務請負・アウトソーシング」「求人広告」となります。
また、人材関連サービス関連では、このほか、人材コンサルティング業、
採用支援コンサルティング業、人材教育業などがあります。
- 人材派遣とは、クライアントとの契約に基づいた業務を提供しますが、
自社で雇用したスタッフを派遣し、就労先から直接指示を受けて業務をおこないます。
あらかじめ労働内容の範囲は定められ、派遣スタッフにはその範囲内での業務を担当します。
派遣業を営む事業所は、厚労省からの事業許可を得る必要があります。
近年、有期雇用派遣の期間制限ルール変更が行われました。
- 人材紹介(職業紹介)とは、求職者に仕事を紹介するサービスです。
「人材紹介業」ともいわれます。
企業が求める人材を探し、その人が採用された場合、紹介の成功報酬を得る事業です。
職業紹介業も派遣業と同様に、厚労省からの事業許可が必要です。
- 業務請負業とは、あらかじめクライアントと請負契約を交わし、
契約に基づいた業務を提供し依頼事項を完了させることで報酬を得る事業です。
請負う業務は、自社で採用したスタッフが担当し、業務指示も自社で行います。
- 求人広告業とは、求人広告の作成支援サービスを提供し、
広告掲載料もしくは制作料を得るビジネスです。
- ここでは、「人材派遣」について見ていきます。
業界再編、M&Aの動向
- ここでは、人材派遣業の業界再編、M&Aの動向について、見ていきます。
- 2008年以降、リーマンショック後の国内経済の悪化により、
譲渡希望の中小派遣会社が増加し、M&Aが活発化しています。
2012年には、労働者派遣法改正によってグループ内派遣に規制が掛けられました。
グループ外需要を取り込むことができない派遣会社を独立系派遣会社が買収するケースが
多く見られました。
- 近年では、派遣職種の多角化や規模の拡大を目的としたM&Aだけでなく、
大手による海外企業の買収、技術者・エンジニア領域の買収など、
BPOや業務請負・業務受託系の専門分野を得るため買収も目立ち、業界再編は加速しています。
M&Aの要点・ポイント
事業面
- 主要取引先、顧客層の状況
- 派遣人材の内容(成長分野、高度ニーズへの対応等含む)
- 派遣人材の状況、人員、稼働人員・稼働率、入退社状況、獲得方法等
- 派遣人材の人材教育、社会保険制度、福利厚生サービスの状況等
- 情報管理体制
派遣者の属性、就業条件、スキルなどが整備・データベース化
顧客企業の需要特性等の個別受注データが整備
- 営業体制
安定した受注先を確保しているか
営業体制、様々な分野の派遣人材の開拓と提案能力
取引先別損益採算管理
財務面、組織面、管理面
- 許認可の状況
- 財務面、純資産、借入金の状況等
- 人件費、広告宣伝費の状況
- 退職債務の状況、厚生年金基金の積立不足はないか
- 未払賃金・給与などの労働債務の有無等