IT・ソフトウェア業のM&A
IT・ソフトウェア 業界概要、市場動向
- 現在のIT業界は、IT業界は、技術やサービスの進化が著しく、さらに多くの業種や職種が
絡み合っているため、非常に複雑化していますが、ここでは、IT業界を「インターネット・
Web業界」、「情報処理サービス(SI)業界」、「ソフトウェア業界」、「ハードウェア業界」
の4種に分類されます。ここでは、「インターネット・Web業界」、
「情報処理サービス(SI)業界」について、見ていきます。
- 「インターネット・Web業界」は、Webサイト制作、ネットワーク構築、インターネット広告などの企業向けのサービスを提供する企業(BtoB)と、SNS、ポータルサイト、ショッピングサイトなどの個人向けのサービスを提供する企業(BtoC)に分けることができます。
インターネット・Web業界の市場規模は、2020年で47兆円と予想されており、
2010年からの10年間で約4.5倍に拡大しています。
- 「情報処理サービス(SI:システムインテグレーション)業界」(以下、SI業界)は、
企業・業界(発注者)から、企業の様々な業務を進めるための情報処理システムを、
企画から運用まで一貫して請け負う業界のことをいいます。
- SI業界の業界構造として、元請と下請けの構造があります。
「ユーザー企業(発注者)→元請け→一次下請けー→二次下請け、三次下請け…」と
元請けSIer (システムインテグレーター)を頂点に多重下請け構造になっています。
- SIerは、コンピューターのハードウェアを製造するメーカー系(日立製作所系、NEC系、
富士通系、IBM系等)、ユーザー企業の情報システム子会社であるユーザー系(野村総研、
新日鉄住金ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ等)、
資本的に独立した独立系(ITホールディングス、大塚商会、オービック等)に分類されます。
- 下請け(二次請け・三次請け)は、一次請け企業(SIer)から仕事を受注し、開発や運営業務を
行います。大半が中小企業であり、業界の8~9割を占めています。それぞれの得意分野や専門分野に
仕事を分割してプロジェクトチームを組み、顧客のニーズに合ったシステム開発を目指します。
- 経済産業省の統計調査によりますと、受託ソフトウェア開発と情報処理サービス(SI)と
受託ソフトウェア開発を合わせた市場規模は、約6.8兆円となっています。
IT・ソフトウェア 業界再編、M&Aの動向
IT業界のM&Aは、引き続き増加傾向にあります。
IT・ソフトウェア業界のM&A増加の理由・要因・背景は、以下の通りです。
- IT(web、ソフトウェア)事業領域の拡大
- 人材(IT・webエンジニア)獲得、IT人材不足解消のため
- M&Aによる成長加速のため
- 情報システム業種・ソフトウェア受託業務の下請け構造の統廃合(業界再編)
IT・ソフトウェア M&Aの要点・ポイント
事業面
- 受注状況、受注先、顧客基盤
- 事業構造上の位置づけ(元請、下請け)
- 事業特徴、強み(得意分野、技術等)
- 受注管理、損益採算管理の状況
- 外注先の状況等
人員・人材・組織面
- 人員構成(人数、組織、契約形態、年齢、在籍)
- 人材の状況(有資格者、経験ある技術者、PM人材等)
- 最新技術、先進技術への対応人材等