ビルメンテナンス業のM&A
業界概要、市場動向
- ビルメンテナンス業務とは、ビルを対象に、清掃、保守、機器の運転を一括して請け負い、
これらのサービスを提供する事業を言います。
ビルメンテナンス業務は、環境衛生管理、清掃管理、設備管理、整備防災の4種に大別されます。
業務別の売上構成比で、清掃管理で6割、設備管理で2割、警備防災で1割、その他となっています。
- ビルメンテナンス市場規模は約4.4兆円、全国約3,000事業所があります。
- 当業界は、労働集約型の事業構造となっています。
総収入のうち人件費関連が占める割合は8割を占めます。
また当業界は、年商5億円未満で約半数を占めるなど、
中小規模の事業者が多い構造となっています。
- ビルメンテナンス市場は、横ばいないし緩やかに増加傾向にあります。
都心部を中心としたオフィスビル、商業ビルなど再開発等の新規物件の増加等が
背景として挙げられます。
出典)全国ビルメンテナンス協会「ビルメンテナンス情報年間2020」
業界再編、M&Aの動向
- 大手ビルメンテナンス業界におけるM&Aは、事業基盤強化を目指す国内M&A、
総合FMS(ファシリティマネジメントサービス)事業者を目指して、周辺事業に拡大するための
M&A、そして海外進出のためのM&Aの流れで進んでいくことが予想されます。
- 総合FMSとは、従来型の施設管理業務だけではなく、施設の効率的利用やコスト削減、入居者(テナント)の満足度を高め、資産価値を向上させるような総合的な不動産管理サービスを言います。
- 一方、中小企業は、厳しい経営環境にあります。近年、ビルメンテナンス業界の動きを見てみると、
大手企業の市場の寡占化によって、年々、中小企業の経営が厳しい状況に置かれています。
- 中小企業は、労働力確保においても厳しい状況にあります。
大手企業が豊富な資金力を背景に労働力確保のため、採用の為の広告費や福利厚生の充実を
進めていますが、中小企業はそれができず、慢性的な人手不足の状況が続いています。
M&Aの要点・ポイント
事業面
- 人員体制(組織、人数、経験者、有資格者、年齢、在籍)、雇用形態等
- 主要顧客、受注先・受注一覧、取引先、顧客基盤
- 損益管理状況、受注単価管理
- 人材管理体制、教育研修制度
- 当該事業との相乗効果(シナジー効果)、相互補完関係、地域性など
財務面